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表面利回りに惑わされてはいけない

 不動産投資において「1に利回り、2に利回り、3に利回りだ!」という人がいます。 しかし、表面利回りを気にするのはほとんど意味がありません。 なぜ表面利回りを気にしてもしょうがないのか、何を気にするべきなのか解説していきます。



 

表面利回りは「現金一括」の指標

 表面利回りは現金一括で不動産を購入し、満室稼働した場合の指標です。

 例えば1億円の物件が表面利回り10%なら、現金一括で1億円を支払い常に満室であれば、 年間1000万円の家賃収入があるというものです。

 「表面利回り」には「維持修繕費の積立金」「管理費」「賃貸屋さんに支払う仲介手数料」 「空室期間の損失」「不動産取得税や固定資産税の支払い」といった諸経費の概念が入っていません。 会社経営で例えると、「投資総額」に対する「売上高」表面利回りだということができます。

 不動産投資は「売上高」を積み上げるために行うものではなく、 手元に残る「利益」を積み上げるために行うものです。ですから売上高を語っても意味がありません。

 新築物件や築浅物件ならともかく、中古物件で「満室稼働」を想定するのもナンセンスです。 不動産投資の世界では「80-20の法則」といって、家賃収入は8割、諸経費は2割を見込んでおくのが鉄則です。 この「表面利回り10%の1億円の物件」であれば、家賃収入は800万円で、そこから200万円を経費として見込まなければなりません。

 この場合、実質的に手元に残り、自由に使えるお金は600万円ということになります。 これを「実質利回り」と言い、この物件の場合は「実質利回り6%」ということになります。

 不動産投資の書籍では「実質利回り」を重視するようすすめる書籍もあります。 しかし、「表面利回り」も「実質利回り」も、投資の本質を外しています。

 表面利回りも実質利回りも、「投資総額」に対する「売上高または収益」であることに注目してください。 融資を受けて不動産投資をする場合、「投資総額」で語るのも意味がありません。 なぜならそのほとんどが返済しなければならないお金であり、自分のお金ではないからです。

 

不動産投資は「投資利回り(ROE)」で語れ!

 不動産投資で重視しなければならないのは、「自分のお金をいくら増やしたか」です。

 表面利回りも実質利回りも、融資を受けて投資した場合は「銀行の資金」「銀行の利益」まで計算に含まれてしまいます。 ここでは銀行の取り分を除き、「自己資金」をいくら出して、「自分の利益」がいくら発生するかを重視しなければなりません。

 その指標が「投資利回り(ROE)」です。

 投資利回りは会社経営でいうROE(Return On Equity)であり、 「投入した自己資金がいくら自分の利益を稼いだか」という指標です。

 実は、融資を使うことによって投資利回りは、表面利回りや実質利回りよりもはるかに良くなります

 

投資利回りの例1(自己資金1000万円)

 先程の表面利回り10%の1億円の物件を例にしましょう。

 自己資金を1000万円出し、2.5%の金利で9000万円を借り入れて購入した場合、 35年ローンなら年間の返済額が386万円となります。

 80-20の法則で諸経費を引いた残りが600万円なので、そこからローンの返済分を引くと214万円ですね。

 これを自己資金1000万円で割ってみると、投資利回りは21.4%になります。 つまり、投入した自己資金は5年で回収できるということです。

 

投資利回りの例2(自己資金3000万円)

 同じ物件を、自己資金3000万円で、2.5%の金利で7000万円を借り入れて購入した場合はどうでしょうか。 35年ローンなら年間の返済額が300万円となります。

 80-20の法則に基づき残った600万円からローン返済分を引くと300万円ですね。 「あれ?さっきより手元に残るお金が大きいぞ!」・・・と思うのは早計です。

 自己資金3000万円で割ってみると、投資利回りは10%になります。 投入した自己資金を回収するのに10年かかるということです。

 例1と例2を比較してみると、例1の場合は5年後には自分の預金通帳がプラスになっています。 しかし、例2の場合は5年後はまだマイナス1500万円です。

 例1の場合、10年後にはプラス1140万円ですが、例2はようやくプラスマイナスゼロです。

 恐ろしいのはここからです。例1の場合、自己資金が1000万円で済んだのですから、例2に比べて2000万円が余りますよね。 この2000万円で同じ条件の物件をあと2棟買ったらどうなるでしょうか。 そうです。例2がようやく収支ゼロになるころには、なんと3420万円もプラスになっているのです。

 

投資利回りの例3(自己資金3000万円で表面利回り12%)

 では自己資金3000万円で表面利回り12%の1億円の物件を買った場合を見てみましょう。 融資の条件は例2と同じで、今度は年間1200万円の売上を出す物件です。

 80-20の法則で諸経費を引いた残りは720万円で、ローン返済分を引くと420万円です。

 自己資金3000万円で割ってみると、投資利回りは14%です。 例2よりはマシですが、例1より低いですよね。

 この場合、10年後は1200万円のプラスになっています。 しかし、例1で追加で2棟買っていた場合の3420万円には遠く及びません。

 表面利回り10%と12%の物件を見比べて、「表面利回りが高いほうがいい!」と例3の物件に飛びついてしまった人は、 10%の物件を買った人より全然稼げないという結果になりました。

 表面利回りが高くても、投資利回りを考えなければ損をするというわけです。

 

不動産投資は「いくら融資を引けるか」による

 投資利回りは、利益÷自己資金で算出されます。投資利回りを高めるには確かに利益が高いほうが有利です。 しかし、割り算というものは「分母の大小」が大きな影響をもたらします。

 つまり、いかに少ない自己資金で物件を購入するかが投資利回りを高めるコツになるわけです。 多少の家賃収入より、「いくら融資を引けるか」次第で儲かる投資にも儲からない投資にもなるのです。

 自己資金が少なく済めば、浮いた分でもう1棟、もう2棟と物件を購入することができます。 投資利回りを重視して、融資をたくさん引ける物件を購入していけば、 上の例のように2倍も3倍も儲かる可能性があります。

 もちろん融資をたくさん受けるのが最良なのかというと、そうではありません。 銀行には「総量規制」があり、1個人で借り入れが3億円を超えると、 それ以上の融資はストップします。

 こうなると不動産投資を拡大できませんので、繰り上げ返済をして自己資本比率を強化したり、 法人化したりといった対策が必要になってきますが、ここでは割愛します。

 また、金利が上がると返済額が増えますが、融資が多ければ多いほどその影響も大きくなります。 上の例1の場合、金利が0.5%上がって3%になると、年間返済額が30万円増加します。 当初は214万円の利益が出ていたのに、184万円に下がってしまうわけです。

 この意味では出した自己資金が多いほど、金利上昇のリスクは軽減できます。

 

投資家が「オーバーローン」を喜ぶ理由

 不動産投資の書籍やメルマガを読んでいると、「オーバーローンが引けました!」と喜んでいる投資家を見かけることがあります。 オーバーローンとはいったいなんなのでしょうか。

 オーバーローンとは、物件価格どころか購入にかかる諸経費分まで融資がつくことを指します。

 オーバーローンは「投資利回り」で考えるととんでもない効果をもたらします。 自己資金が完全に0円ということです。1円も出さずに家賃収入を稼ぐのですから、 もはや錬金術とすらいえるものです。

 私が物件を購入したのは2016年ですが、当初はかなりオーバーローンに近い条件で融資の審査を受けていました。 自己資金は60万円、投資利回りは100%というとんでもない条件でした。 残念ながら融資が否決されてしまったので自己資金を追加することになったのですが。

 もう少し前、2015年ごろまでならおそらくオーバーローン気味の条件でも通ったと考えられます。 2013年以降は不動産価格が上昇し、また金融庁の行政指導などもあって融資の条件は厳しくなってきています。

 特に2018年は「かぼちゃの馬車」事件があり、スルガ銀行が金融庁の立ち入り調査を受ける事態になりました。 事件の中身を見ていると正直言って「なんでこんなものに投資したんだ?」と思うようなヒドイ内容なのですが、 日本は個人投資家を手厚く保護します。その代わりに不動産会社や銀行が叩かれるのです。

 このような状況ですから、オーバーローンどころか、自己資金もどんどん積み増していかないと、 不動産投資をすること自体難しくなっています。

 しかし、諦めないでください。不動産投資ローンは銀行によって審査が異なり、 銀行の付き合いの深い不動産会社の紹介だったり、物件自体が魅力的だと融資は引けます。

 

新築一棟で利益が出る理由

 私の最初の物件について紹介します。

 2016年に購入した新築一棟木造アパートですが、価格は7200万円で、 年間家賃収入は450万円です。表面利回りなんと6.25%。 中古物件が8%~12%程度であることから考えると、とても投資として成り立たない気がしますよね。

 しかし、実際には利益が出ています。なぜなら自己資金が500万円で済んだため、 投資利回りが14%あるからです。

 上でも解説したように当初の条件であれば投資利回り100%だったのですが、 残念ながら自己資金を追加で440万円出し、投資利回り14%でガマンすることになりました。

 さて、新築一棟のデメリットはとにかく物件価格が高いところです。 もし家賃収入450万円の中古物件だったら、6000万円程度がいいところでしょう。 しかし、私の新築物件は銀行の評価が高かったので、融資をたくさん引くことができました。

 なぜ新築一棟でも利益が出るのでしょうか。

 まず、不動産会社と付き合いの長い銀行から借りられたという事情があります。 「不動産会社の長い取引実績」という、私とは関係のない「信用」を利用することができたのです。

 もう1つは、その不動産会社の物件は空室率が非常に低く、上場企業で信頼性もあるという事情です。 創業何十年も経っていますが、その不動産会社の建てるアパートがあまりに魅力的で、 入居者が引っ越してもすぐに次の入居者が決まるためにほぼ常にすべての物件で満室状態なのです。

 そのデータという事実があるために、銀行も高い満室率を融資の審査に組み込むことができます。 そのため私は自己資金500万円、投資総額の実に93%を融資でまかなうことができたのです。

 もし私が「表面利回り」だけを気にしていたら、決して新築一棟には手を出さなかったでしょう。 しかし「投資利回り」という概念を知ってからは、「どれくらい融資が引けそうか」という観点で物件を探すようになりました。 その結果、満室率や設備の面でリスクの低い新築一棟で利益を出すという発想に至ったのです。

 

不動産投資をもっと勉強しよう

 不動産投資は勉強すればするほどリスクがゼロに近づいていきます。 私は不動産投資の本を40冊、ビジネス書を200冊読み、不動産投資セミナーに参加したり、 不動産会社に資料請求をしたり面談を申し込んだりして勉強をしました。

 セミナーや面談では、本やwebサイトに書けない秘密の話が満載です。メチャクチャ勉強になりました。 また、私は「年収500万円以上」「自己資金500万円」と言っていますが、それは市況次第です。 「入社3年」という条件すら、「2年でもいい」という銀行すらあるくらいです。

 最新の環境なら、あなたも今すぐ不動産投資ができるかもしれません。 実際、私も「まだ無理だろ~」と思いながら資料請求して面談を受けた会社で、新築一棟木造アパートを購入できました。 セミナー面談を受けることで、可能性が広がります。